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「えー、そうなのー?」
「やっだ、アハハハハ。変わってないねぇ、陽ちゃんは。」
「50も過ぎて陽ちゃんもないけど。」
「それもそうねー、アハハハ。」
女3人集まれば、幾つになってもうるさ・・・いや、にぎやかなものである。まして学生時代を共にした旧友が久しぶりに集うとなれば、ことさら。
今3人が談笑しているのは、西武新宿−本川越間を43分で結ぶ特急小江戸号の車内である。ゆったりとした全席指定の快適な列車で、小江戸川越桜巡りに行こうという企画を立てたのは良子だ。 |
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「そう、それでこの地図なんだけど、娘に川越へ行くって言ったらネットで探してくれて。これを持って行くとサービスがあるらしいのよ、この甘味屋さん。」「そういえば、この前お昼のTVであんこが体に良いって言ってたわ。」
「じゃ、このお店でお茶にしましょう。」
サービスという言葉と、みOOOたの言葉に主婦はかなり弱い。そうこうしている内に列車は本川越駅へ着いた。春の穏やかな陽射しの中、まず一路目指すのは、しだれ桜の美しい中院である。手入れされた庭もまた優美だ。 |
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「評判通りの美しさねぇ。」
「夜にはライトアップされて幻想的だって言うけど、主婦には無理な時間よね。」
「ライトアップは恋人達のためって相場が決まってるのよ。」
「あら、かつては熱々の恋人達だったじゃない、村ちゃんとご主人だって。ハネムーンベイビーだったし。」そばで聴いているであろう桜の花も赤く染まってしまうような話の展開へ…。
「それで…次は喜多院なんだけど…。」先程の地図を片手に住宅街を歩くが、家々の庭にも桜が咲き誇り、川越の街は桜一色春爛漫である。迷わず辿り着いた喜多院の境内も桜で埋め尽くされ、多くの花見客で賑わっていた。
「花見には、お酒が付き物だったわねぇ。」飲み歩いた若き日を思う3人だが、喜多院の中にはしっとりした趣の中庭を持つ客殿もあり、外の喧騒とは異をなして静寂が漂う。このような花見もおつである。
「花見もいいんだけど、やっぱり川越に来たらメインスポットの蔵づくりの町並みは見ましょうよ。」との陽子の言葉に、次に向かったのは蔵づくりのゾーン。 |
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連なる蔵の景観は圧巻、歴史を物語る。しかし、着いたものの少し小腹が空いてきた。
「お腹も空いたし、何か食べようか。ガイドブックで調べたら、こことかこことかあったけど…。」
「どこも美味しそうねぇ。やっぱりコース料理がいいかしらね、せっかくだし。」旦那様方がお昼をいかに安く済ませようか悩ませているであろう頃、奥様方もまた頭を悩ませていた。
「でもここには菓子屋横丁ってところもあるらしいわよ。」
「それも惹かれるわねぇ。近いし、まずは行ってみましょうか。」 |
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菓子屋横丁には懐かしのお菓子がいっぱい。団子のいい匂いもする。ノスタルジックな想いも手伝って結局お腹も落ち着いた。
「なんか、この辺とてもいい雰囲気の路地よね。」そう、意外と何気ない小風景に小江戸情緒を感じるのかも知れない。菓子屋横丁の周辺にはお寺も多く、その境内には例外なく桜が咲く。寺院には桜がつきものだ。空腹を満たされた一行、蔵づくりの町並みをそぞろ歩く。その中にある蔵造り資料館では、現存している蔵を内から外から見ることができ、貴重な資料も展示してある。また最近作られたばかりの川越まつり会館では、毎年10月に行われる川越まつりに実際に使われている山車を間近で見ることができ、その大きさ、豪華絢爛な姿に圧倒される。土産物屋も軒を連ねる賑やかな通りをあちらこちらと歩きながら、蔵の町を満喫した3人はそろそろ帰途へ着くことにした。
「久々に歩いたわ、今日は。」「ほんとよね。」でも最後に忘れてはいなかった。みOOOたの言葉を…。
「じゃ、あかりやさんに行って、ひと休みして帰りましょうか。」
「そうそう、あんこ食べなきゃ。」
「花冷えっていうものね、おしるこがいいかしら。」確かに日は暮れかかり、街は少し冷えてきたが女達のホットな会話は続くのであった…。 |
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